給水塔は地域ごとに特色がある。
『団地の給水塔大図鑑』を見て、特に千葉・神奈川・茨城・大阪・愛知・沖縄あたりの給水塔が気になり、まずは行けるところから行ってみようということで、ある日神奈川の給水塔巡りをした。
まずは神奈川の給水塔の中でも一際目を引いた、横浜市保土ヶ谷区にある左近山団地の給水塔へ。
最寄りは二俣川駅だが、団地の給水塔あるあるで、そこから結構な距離を歩く。
バスもちゃんと通っているが、町歩きも目的の一つなので、スタミナが尽きるまでは足を使うことにする。
駅からは20分ほど歩き、高低差もあったのでなかなかキツかった。
団地自体は特別新しくはないものの、均整の取れた形をしており、また穏やかな雰囲気の商店街もあって、住みたくなるような団地だった。
本当に住もうものなら、駅までの距離がネックになるのは間違いないだろうが、仕事帰りに毎日給水塔の前を通る生活は楽しそうだ。
さて、いよいよ本日第1号の給水塔へ。
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商店街からも見ることができる、紳士のムードを醸した給水塔。
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スマートな雰囲気の左近山団地を象徴するかのような姿だ。
給水塔のカラーリングは淡い色合いが多いため、この濃紺のラインは珍しささえ感じる。
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パッとしない曇天の中、凛々しく空を突いて立つ。
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神奈川の給水塔訪問は6月の話で、結構前なんだけど、改めて見返しても、かなり好みのデザインだった。
単におれが青好きというのも大きいですが。
次に向かったのは、神奈川県営鶴ヶ峰団地。
何と昭和30年築の団地とのことだ。
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かなり年季の入った姿。
古い団地でも、給水塔だけきれいな姿を保っていることもままあるけど、ここの場合は給水塔も同様に、いい古めかしさをしていた。
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むき出しのスケルトン給水塔。
左近山団地の給水塔とは似ても似つかない姿。
完全に別の姿である二つのモニュメントを結ぶのは、給水塔というワードだけ。
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右側に付いているのは、これハシゴなのかね。
落下防止のためか、周辺を囲った面白い形状をしている。
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その古めかしさも、見上げれば転じて雄大に映る。
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時代柄、耐震性はどうなんだろうとか余計な心配をしてしまうが、とても素敵な形であるのは間違いない。
団地も含めて劣化が激しく(すでに新規の入居募集はしていないとのこと)、この給水塔がずっとここに在り続けるかは分からない。
存在しているうちに愛でておきましょう。
次に向かったのは戸塚区。
戸塚区にはなぜか給水塔が多くあるのだ。
ただいずれも駅からは距離があり、今回は戸塚駅そばのバス停から、バスで向かうことにした。
最初にやってきたのは戸塚芙蓉ハイツ。
芙蓉と聞くと横山光輝の『三国志』で読んだ劉備の恋人、芙蓉姫のことを思い出す。
「恋は路傍の花」ってやつね。
むむむ。
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給水塔もまた、団地に咲く一輪の花よ。
サイズが大き過ぎる気もするが。
何棟かある団地群の真ん中にドンと立ち、明らかに一番目立っている。
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今回訪れた派手な姿をした給水塔群の中では、この給水塔はイマイチ地味な存在であったが、珍しい形状をしている。
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このあたりは団地間の距離も近く、10分も歩けば他の給水塔のところに行ける。
次は戸塚深谷共同住宅だったが、ここの給水塔は衝撃の姿をしていた。
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やたら派手な団地だなと思いながら歩いていたら、視線の奥に、若草色のラインを配したポップな姿の給水塔が。
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正面からだと電線に掛かってしまうのが残念だけど、唯一無二のこの色合い。
『団地の給水塔大図鑑』だと、この給水塔はもっと地味な色だったんだよね。
団地そのものもネットに転がってる画像の大半では緑色じゃなかったので、団地が塗り替えをすると同時に、給水塔も派手な姿になったのだろう。
ご相伴にあずかっただけなのかもしれないけど、給水塔も大事にされているようで嬉しくなるね。
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団地の案内図にもはっきりと給水塔の表記が。
これはとりあえずいつも確認してしまう。
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最初横から見た時は給水塔と気付かず、スーパーマーケットか何かかと思った。
スーパーの外観って、この手の色がよく使われている印象があるんだよね。
さて、次はUR大正団地へ。
戸塚芙蓉ハイツのあたりを歩いている時、遠くの空に大正団地の給水塔も見えていたので、迷うことなくたどり着けた。
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この強烈なカラーリングは相当に目を惹く。
写真では少し茶色っぽさもあるけど、実際に見てみると深紅の給水塔! って感じでひたすらかっこいい。
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団地の一番中心に位置し、まさしく戦隊ものでいうレッドの存在感を発揮している。
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近くで見た時のわずかな色のかすれ具合も、もはや味だろう。
ここでは団地の裏にある弘法池公園の池に映る給水塔を眺めるという、大人の楽しみもできるとの話だったが、時期的な問題なのか、池の水は草ですっかり覆われており、どう見ても難しかったので断念。
さて、次はこの日最後の目的地である、市公社汲沢(ぐみざわ)西団地へと向かう。
くみさわじゃなく、ぐみざわ。グミ沢。
初見で読める人は珍しいのではないかと思われる。
ここも戸塚区ではあるが、これまでの給水塔とは場所が離れており、歩いたら結構な時間が掛かってしまった。
そろそろ夕刻も近付いてきており、焦る。
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へとへとになってたどり着いた給水塔は、ほっそりとしたフォルム。
1日の最後に拝む給水塔としては、派手なものよりも、こんな姿のほうが落ち着いて見られるな。
例えるなら、デザートに出てくる杏仁豆腐のような感覚。
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給水塔の写真を撮る時、鳥や飛行機が写り込むことはよくある。
流れ的には、次はスーパーマンが写り込んでも不思議ではない。
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この日の給水塔ウォッチングはこれで終わりとなったが、神奈川にはまだまだ見てみたい給水塔が多く、何回かに分けて見に行こうかなと。
先に書いた通り、これは6月の話で、その後も他の用事と合わせて何回か単発で給水塔を見に行ったので、続けて書くことにする。
ちょうど一月後ぐらいに、今度は横浜市港北区にある大倉山ヒルタウンという建物へ行った。
モダンなデザインをした低層マンションだ。
坂の上にあるが、駅から歩いて5分ほどで行けるので利便性も良さそう。
「大倉山ヒルタウン」で検索すると「芸能人」というワードが出てきたりするし、多少の古さはあれど、高級感がある建物だった。
そしてそこにある給水塔もまた、ただ者ではない風貌をしており。
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どうでしょう。
昭和でもなく、平成でもない、過去でもなく、未来でもないようなこのデザイン。
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どことなくキノコっぽくもあり。
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が、向きを変えるとキノコというか、トランシーバー(古い)のような形にも見える。
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他の給水塔とは一線を画したデザインで楽しかった。
そもそもこれ給水塔なの? という疑問を持つ方もいるかもしれないが……。
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案内図にがっつり「給水塔」と表記されていたので、これは間違いなく給水塔。
さて、次は8月に見た、川崎市の寺尾台団地の給水塔のことを書く。
ここもまたどの駅からも遠い場所にあり、バスで行くのが無難だと思う。
とりあえず行きは歩いてみたが、炎天下の中25分ぐらいは掛かった。
実は最初、左近山団地〜汲沢西団地の給水塔を見た日のスケジュールの最後にこの寺尾台団地も入っていたんだけど、行ったら絶対倒れてたな。
今回の日記では、色とりどりの給水塔を紹介してきた。
大正団地(レッド)、左近山団地(ブルー)、戸塚深谷住宅(グリーン)、戸塚芙蓉ハイツ(まあこれもグリーン、かろうじて)と、戦隊でも組めそうなほどカラフルな給水塔を見てきたが、寺尾台団地の給水塔もまた、戦隊ものに欠かせないカラーをしているのだった。
最後の仲間の姿が今ここに。
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そう、ピンク。
この一面ピンク画像は、実際に給水塔のピンク部分を間近で写したもの。
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寺尾台団地そのものには一切ピンク色は使われておらず、給水塔だけがこのカラーリングという酔狂さ。最高。
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ピンク色は晴天にも映える。
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それにこの形、左近山団地の給水塔と完全に同一だよね。
スライムとスライムベスみたいな色違いバージョン。
同じ方がデザインされたのかな?
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寺尾台団地は1970年築で、あの『仮面ライダーX』の映像中にも登場しているらしい。
そこで映っている給水塔はピンクじゃないそうなので、途中で塗り直されたんだろうなと。
給水塔のカラーリングって、周辺の建物に比べて独特な色にされていることが多いけど、何か意味があるのかな。
例えばこれが淡い色であれば、住民の人が見て落ち着けるように、みたいな配慮かと思いもするけど、その意図ではピンクにはしないよな。
塗り替えの時に気持ちが高ぶって、ハジけちゃったのかな。
「給水塔なんてわざわざ足止めて見る人もいないだろうし、ド派手にしたれ」みたいな。
結果、意図せずしてやたら目立つ存在となってしまった、みたいなね。
給水塔はデザイナーにとって「遊べる」存在なのかもしれない。
戦隊ものとして最後の1基、ブラック給水塔も募集しとります。