東武東上線に縁のない人生を送ってきたが、特に成増から大山のあたりは坂道が多く歩いていて楽しいので、平坦な人生に飽き飽きした時には坂を上り下りしにやってきている。
今回訪れたのは上板橋。
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そう、こんな感じに坂道が多い。
もうおれの地図では、このあたりは空中都市としてマッピングされている。
空中都市だが、未来感はまるでない。
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黄色ってだけでも目立っているのに、こんなかわいらしい落書きがされていた。
いろんな場所に落書きして去る野良バンクシーの仕業じゃないだろう、近所のお子さんが描いたような無垢なポップさ。
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米?
そう、おれは米が食べたくてこの上板橋に来ている。
なぜそれが分かったんだ。
米というか、まあカレー。
駅から10分ぐらい坂を上り下りして「新華」を訪れた。
女性のご主人が豪放さと丁寧さを兼ね備えた雰囲気があり、常連の方にも一見さんのおれにも優しくて、居心地のいい空間がそこにはあった。
お昼時で忙しそうで「ちょっと時間掛かるかも」とのことだったので、本を読みながらじっくり待つ。
先にやってきた料理は「バクニク」。
これめちゃくちゃうまい。
豚肉にキクラゲにネギにと、使われている材料はありきたりなのに、自分で作るとこの味にはならないんだよなあ。
味が濃くて酒にもめちゃくちゃ合いそう。
これを家でのおつまみにサッと出せたなら、町の噂になるだろう。
常連の方はお酒を頂いてて、うらやましかった。
いまだに昼酒はほとんどやったことがない。
瞬間は楽しいけど、その後夜までだるくなってしまうのがもったいないので。
上板橋でそれをやってしまったら、帰りの坂道から転がり落ちてしまいそうだし。
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カレーライスもあったが、ドライカレーが気になってこっちをセレクト。
福神漬け、グリーンピースが色彩豊かで美しく、これもまたうまい。
大満足の昼食となった。
あまりに楽しかったので、2週後にまたも上板橋を訪れる。
この日の目的地は「共栄軒」という、これもまた中華屋さん。
googlemapを見ながら進んでいたら、前の「新華」に着いてしまって、もしかして探す店間違えたかな? と思ったら、十数メートル先に「共栄軒」もあった。
またもお昼時に来ているせいもあり、店内大盛況。
近所の野球チームと思われる方々が練習だか試合終わりかでお店を訪れていて、みんな楽しそうにしている。
やることもないので、ごはんが来るまで野球チームの方々の会話を聞いていた(というか耳に勝手に届いてきてた)が、その中で気になるやり取りが。
AさんとBさんが、共通の知り合いらしいCの話をしている。
A「(Cに)物貸したら返ってこないと思ったほうがいいよ」
B「何だよそれ、お前の妻か!」
Bさんは楽しそうにそう突っ込んでいた。
何だろうこれ、Cとの関係性が気になり過ぎる。
あとAさんの奥さんも物返さないのは良くないよ。
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今回はカツカレーにした。
町中華のカレーって時々グリーンピースが乗っている。
子どものころは全然好きじゃなくて、残していたっけ。
グリーンピースだけじゃなく、他の豆ももともとみんな駄目だった。
そんなおれが今、ここまで豆と近い関係となっているなんて人生は不思議だ。
豆とおれの間を取り持ってくれているのは、例によってカレー。
カレーは料理界の坂本龍馬なんである。
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餃子も注文。
町中華の餃子ってどこで頼んでもみんなうまいから、欠かせぬ存在。
世間じゃ「餃ビー」なる取り合わせがあるという。
ビールが飲めないおれはあれ、うらやましくてならない。
別に町中華によくある「酒」とか「日本酒」「さけ」「サケ」とだけ書かれた、銘柄不明のお酒と一緒に餃子を頂いても最高なんだけどなあ。
「餃酒」じゃダメなのか。
ぎょうしゅ。
まあ、「餃ビー」に比べるとインパクト弱いか。
二十代は「氷結」「ほろよい」専門家だったが、時を経て今じゃビール以外ほぼほぼ何でもござれになったので、きっとビールももう普通に飲めるんだろうけどね。
でも今さら感がすごいので、ビール飲めないキャラで通そうと思っている。

今の1曲

高橋幸宏さん、ご冥福をお祈りします。
年をとってもお洒落でかっこよく、こんなふうに年を取れるなら理想だなと思える存在だった。
それこそ、この歌詞で歌われるサンセットのようにキラキラしていた。
本当に本当に早過ぎるよ。
自分が早死にはしたくないが、長く生きれば生きるほど、尊敬というか崇め奉ってきた最高の音楽家たちがいなくなってしまうのを目にしなければならないのか。
そう考えると人生ってのはキツイな、本当に。